人類も地上の動物の一つと認識する旅
地球の荘厳さに
圧倒される南極
今回紹介するのは、フッティルーテンの南極航路です。
よほどのことがないと旅行先として考えることもない南極ですが、そこには地球を感じさせる荘厳な風景が溢れています。大自然の循環の中で人は生きていることが感じられる場所でした。自然を破壊すれば人もまた破壊されるだろうということが体感される場所でした。古代の人類が感じた神々がいるようなところでした。
Words&Photos by Masahiro Saito.
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取材協力:船旅見聞録
乗船したクルーズの情報:https://www.funatabifun.com/antarctica/japan2026/
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このページでわかること
南極クルーズでどんな体験ができるか
1.南極大陸への行き方・乗船地 ウシュアイアの情報
2-1.魔の海、ドレーク海峡を越えていく
2-2.野生のペンギン島に上陸する
3-1.その名もパラダイスハーバー
3-2.南極の夕景、それは地球の夕暮れだった
4-1.南極の「観光地」各国の基地訪問
4-2.フェアウェルパーティ 一生の宝になる旅

早朝の南極半島
南極大陸に最も近い南米からクルーズで行く
今回は南米アルゼンチンの南端、ウシュアイアからのクルーズ。日本からは約2週間の旅でした。
南極のクルーズは、南アフリカの喜望峰、オーストラリア、南米の最南端から出ています。行ったことはないけれど、南アフリカからは晴天の日を狙って飛行機でも行けるようです。とはいえほとんどは南米の最南端から出ます。というのは南米最南端から南極半島までは最も近く、見どころが多い旅でした。
ウシュアイアは南米の最南端といっても、北半球であればノルウェーのオスロと同じような緯度です。そして同じくノルウェーの北端キルケネスまで行くと、完全に北極圏に入ります。でも夏のキルケネスの平地は暖流の影響と、太陽が沈まないので植物がどんどん育つ場所です。

ただ経験的に思うのは、北極圏・南極圏が厳寒の地というイメージは冬だけです。
感覚的には南極大陸の沿岸部はそこまで暖かくはありませんが、0度を越えるのは珍しくなく、氷河が最も移動する季節です。

ウシュアイアの空港、木造です

ホテルはだいたい5スターです

夏も万年雪のパタゴニア
南米南端、語られるほど寒くないです
降り立ったウシュアイアは、緯度でいうなら北欧のコペンハーゲンくらいなので、そこそこ暖かい印象でした。
出航まで時間があるからかナショナルパークを廻って、ウシュアイアの港で散歩をしました。壁が厚そうな家が多く冬は寒そうです。それにしても極南の街にしては、明るい日差しが降り注ぎます。でも見上げれば雪の残ったスイスのような、カナダのような山が連なっていました。
夏のウシュアイアの港に着きました。南極行きの船がいくつか並んでいます。
最近では大きいクラスではなくなったけれど、それでも桟橋に舫いでいる乗船するフラム号は大きく見えます。

グリーンランドやスピッツベルゲン、そして南極を回遊している、冒険仕様の客船です。
フラムの名前は、アムンゼンが北極を目指した船を継承した名前です。ちなみにオスロの博物館に実物があります。

冒険船ですが、こんな客室もあります
乗船時間は午後からです。少し待ち時間があってウシュアイアの街を散歩しました。

冬の強風で横に育つパタゴニアの木々
簡単なパスポートチェックを済ませて、港のイミグレーションを通りますが出国スタンプとかありません。というのは「南極」っていうのが、国でないので出国ではなんですね。

日本のような風景もまたパタゴニアです

夜11時ころにやっと沈む太陽