HOME | クルーズ | 04クルーズ|ベネツィア・ポー川 | 04 ブラーノ島へ往復クルーズ


ベネツィアとポー川クルーズ

早朝のベネツィアと
ブラーノクルーズ

 旅先ではたまに夜明けとともに眼が醒めます。特に意識もしないのですが、写真家の本能として魅力的な時間に魅力的な場所に立とうするのでしょう。朝の5時に目が醒めて、誰も起きていない船内を通って船を下りました。


早朝のベネツィアは静寂で中世の様子がイメージされます

 

早朝のベネツィアをひとりじめ

 何日滞在しても最初に目指すのはサンマルコ広場です。夏のイタリアは5時でも明るくなっています。たぶん世界最高の散歩道、カナルグランデに沿ったプロムナードにいるのは、海鳥と昼はどこかに姿を消すホームレス、最終のヴァボレットに乗り損ねたカップル、朝の便で離れる旅人…いずれにしても街にほとんど人影はありません。
 静寂なヴェネツィアを味わいたければこの時間しかありません。普段じっくり見る事もないショッピングストリートのショーウィンドーに、かなり凝ったデザインを見つけることもこの時間なら出来ます。
歩いて行くと観光用のゴンドラが集めて留めてある場所を見つけました。
 あと3時間もすれば、ゴンドラーレのストライプの服に着替えて仕事をはじめるだろう青年が船の調整をしていました。

サンマルコ広場周辺でも人影は数えるほど

ゴンドラもきれいに片付けられていました

 

裏路地は想像次第で楽しい散歩です

 周辺を回ってサンマルコ広場に戻ると朝日が広場の露を乾かしはじめていました。
 そろそろ朝食の時間が近づいてきました。船の舳先側では数人の釣り人が竿をたれています。ここはいい釣り場でもあるのかもしれません。朝食を釣っているのでしょうか。
 朝食後の午前中は自由時間です。ジュゼッペ・ガルバルディ通りを一番奥まで進むと運河になります。その南側のフォンダメンタ・サンタンナ通りを奥まで歩いて行きました。その先にも大きな運河があります。橋の真ん中から周囲を見ると無数の小舟が建物の前に停まっています。
 そこで気がつきました。ベネツィアでは船が車代わりだという事を。そしてこれだけ密集した高層建築がある理由も。中世においてベネツィアは東京都心のように人口が密集していた当時の都会だったのでしょう。
 サンマルコ広場はさながら港区で、東の造船所を擁するジャルディーニあたりは、さながら葛飾区か荒川区のような小工場地帯の様に見えました。いずれにしても世界の富の半分を集めたといわれたベネツィア共和国ですから、住宅環境は悪いにしても庶民ですら基本的には裕福だったのは間違いないでしょう。

Dolce&Gabbanaの開店前の店舗です

ラガーフェルドのコレクションでした

 

午後はブラーノ島までのショートクルーズ

お昼前に船に戻ります。
 今日の午後はブラーノ島までのショートクルーズの予定です。
 一度ジュデッカ島と本島の間をクルーズしながら中世ベネツィア両岸を堪能して、乗船地のSan Basilioで転回してからブラーノへ向かうという気遣いです。
 San Basilioの港には同じフランスのクルーズ船、ポナン、ロストラルが停泊していました。確か250人の乗船が可能な1万トンの船ですが、それでもベネツィアではカナルグランデ周辺には停泊できなくなっています。料理も客室も素晴らしい船ですが、ベネツィアにおいてはミケランジェロ号の方が圧倒的に好条件で楽しめますね。

橋を超えるとブラーノ、という距離感の港

ブラーノには小型船しか付けられません

 

ランチを食べながらブラーノに向かいます

 ブラーノに行くのは初めてです。サンマルコ広場からブラーノ島まではおおよそ1時間半で到着しました。島には小さな桟橋しかなく、ヴァボレットを少し大きくしたサイズの船しか停まれません。ミケランジェロ号でも無理なので、橋を越えた隣のマッツォルボ島に船を留めます。といっても二つの島は1分で渡れる距離です。基本的に漁師の島として栄えたブラーノはレース布で有名です。今では機械で織れるレースですが、当時は網作りの技術が応用された漁師の女将さんの繊細な手作業でつくられた見事な工芸品で、ヨーロッパの貴族からの注文が絶えなかったとか。
 そして、もう一つはカラフルな家並みでした。冬に霧の中で漁をする漁師が自分の家を見分けられるように色分けしたのが始まりというカラフルな壁ですが、今ではインスタ映えする風景として、世界中から一目見ようと押し寄せてきます。
 港の反対側にセントマルティン教会があります。ここの鐘楼はかなり傾いていて驚きました。既に地盤対策はされているとのことで倒れたりはしないようですが、ピサを彷彿させる斜塔は、ブラーノ必見の場所だと思いました。

お昼からステーキです

デザートはクリームブリュレでした

 

映えスポットだらけのブラーノ、
ラグーナをもっと見たくなりました

 ブラーノ島の滞在は3時間程でしたが、島の街並みを見て、軽くカフェで休むにはちょうど良い滞在でした。
 この記事を書きながらベネツィアのラグーナの地図を見ているのですが、多くの島は植物が育ち緑色になっています。干拓は詳しくないのですが海の島で植物が育っているのを見ると、昔の人の知力に頭が下がります。日本ではほとんど情報がありませんが、GoogleMapを見ると、ラグーナには農園が多く、本島以北、ブラーノの周辺にはいくつもラグーナがあり、広大な屋敷が見えます。次にベネツィアに来る機会があったら、そんな人知れず優雅なラグーナの島を訪ねてみたいと思いました。
 ベネツィア本島への帰路は、雲が切れて真っ青な空の下のクルーズです。サンデッキに出てのんびり日光浴をするのも良し、ラウンジでダンスを踊っているカップルもいて、幸せな時間です。

斜塔に目が行くブラーノの風景

ブラーノは島全体がカラフルです

表通りで売られていた鮮やかなワンピース

 

セクシーはパワーなイタリア的な文化

 今夜がベネツィア最後の夜です。どうしてもそのまま寝る気にならず、リアルト橋の方に行きました。ライトアップされているショーウィンドが並ぶ通りで下着ショップがかなり多い事に気がつきました。日本だったらかなり際どいディスプレイと叩かれそうですが、そこはイタリア、セクシーは魅力という認知が感じられました。
 夜、サンマルコ広場のカフェは投げ銭的なコンサート会場となります。基本的には屋外席に座ったお客さんへのBGMですが、演奏を気に入った立ち見のお客さんが、次々にお金を入れていました。

灯る明かりの雰囲気に引き寄せられます

サンマルコ広場のカルテット演奏

ゴージャスな下着と水着のショップ

本日の前菜チーズのパイ胡麻包み


メインは白身魚のクリームソースでした

シルエットになったサンマルコ周辺です